こんな方向けの記事です

- 不動産屋が強引に契約を迫ったり押し売りする理由は?
- 内覧当日に購入申込書を書くように急かしてくる理由は?
- 嫌な不動産会社で内覧してしまったらどうしたらいい?
「不動産屋と一緒に内覧に行った後、電話営業がしつこい」「内覧の現場で購入申し込みを迫ってきた」
こういう声はあちこちで聞かれます。不動産という高額な取引、確かに不動産取引は売買金額が大きく、仲介手数料(売買金額の約3%が上限)で儲かる商売ということもあります。
しかし、それにしても仲介業者はもう少し落ち着いて買主さんと接することはできないものでしょうか。なぜあんなに焦ってるのでしょうか。
ここでは、不動産仲介業者が時には押し売りを仕掛けてくる本当の理由を解説します。これをしれば、不動産屋の営業は怖くなくなるでしょう。
この記事を読むメリット

- 仲介業者が契約を急かしてくる背景が具体的によく分かる
- 仲介業者は他社顧客を気にしながら営業してることが分かる
- 苦手な不動産屋に当たってしまった時の対応方法も分かる
【結論】他社より先に契約させないと給料ゼロになる恐怖があるから
不動産屋が押し売りしてくる理由、結論から言えば「他社より先に契約を勝ち取らないと、給料がゼロになる恐怖があるから」です。
具体的に順を追って要点を整理すると以下の通りです。
- 仲介業者は成功報酬。契約なし=仲介手数料なし(報酬ゼロ)
- 自社顧客が物件を気に入っても、他社顧客の申込みが先なら報酬ゼロ
- 不動産業界はフルコミ営業マンも多い。契約なし=月末の給与ゼロ
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①仲介業者は成功報酬。契約なし=仲介手数料なし(報酬ゼロ)
不動産仲介は、契約して初めて仲介手数料がもらえる成功報酬型の取引です。
宅建業法では、お客さんが契約したら仲介手数料(上限は物件金額の約3%)の請求権が発生すると定められているのです。
ですので、契約もしてないのに「物件提案料」「不動産相談・コンサルフィー」「物件案内代」といった名目でお金をもらうことはできません。
とにかく自社顧客に家を買(売)ってもらって、不動産売買契約を結んでもらわないことには売上ゼロなのです。「契約なし=仲介手数料なし=売上なし」という厳しい事実が待ち受けているのです。
物件案内に10件行こうが100件行こうが、契約してくれなければ1円も稼げません。だからこそとにかく契約させたがるのです。
②自社顧客が物件を気に入っても、他社顧客の申込みが先なら報酬ゼロ
【スピード勝負】他社のお客さんよりも先に、自社顧客を契約させる必要あり
成功報酬だから契約を急ぎたい動機があることは分かりました。
それならば、お客さん一人一人、丁寧にことを進めていけばいい話です。お客さんも満足しますし、着実に報酬が得られるでしょう。
しかし実際には、始めた会ったお客さん(購入検討者)に対して、購入の申し込みをガンガン迫る営業が横行しています。
物件の内覧に行ったその場で「いい物件ですね!今すぐ申し込まないと他の方に取られちゃいますよ!」と迫るのです。なぜでしょうか。
それは、いくら自社のお客さんを契約まで持っていこうと頑張っても、他社のお客さんに先を越されてしまっては報酬がゼロになってしまうからです。
自社のお客さん(買主)に「この物件を買いたい!」と思ってもらうだけではダメで、他社のお客さんより先に契約まで持っていかなければならないスピード勝負の世界なのです。
同じ物件を他社も取り扱える。購入申込書を最短で提出し一番手を目指す
スピード勝負となるメカニズムを具体的に見ていきましょう。
まず、不動産取引において同じ物件を他社も取り扱うことができます(取引の仕組みの概要は以下の【参考】をご参照ください)。
同じ物件を他社のお客さんも内覧できるということです。人気物件であれば、同じ日に物件の案内がバッティングすることもよくあります。
ということは、他社のお客さんがいち早く購入申込書を売主側の不動産会社に提出してしまったら、そのお客さんが交渉順位一番手になります。
他社のお客さんが購入申込書を提出して一番手となった後に、自社顧客が購入申込書を提出しても二番手となってしまうのです。
そうなると、まず売主さんは一番手の購入検討者と交渉をはじめ、そこで話がまとまれば契約になります。
二番手は、一番手の交渉が壊れない限り契約できません。いくら「この物件欲しいです!」と自社のお客さんが言っても、二番手では契約できず仲介手数料をもらうことはできません(報酬ゼロです)。
特に土日は内覧が入るケースが多く、内覧した日に物件購入の申し込みをしても、タッチの差で負けることもよくあります。
案内した夜にお客さんから「購入申込みします」といういい返事がもらえて、さっそく売主側の仲介業者に連絡したとします。
しかし、「あー、先ほど一番手の申し込みが入ってまして、二番手でなら受付できますけどどうしますか?」といった返事が返ってくるのです。
このように、不動産屋の営業マンとしてはいつ他社が購入申込書を提出してくるか分からない中、物件案内をしています。他社より早く…他社より早く…と心の中で焦っているのです。
ですので、仲介業者としては最短で一番手の購入申込書を勝ち取らなければならず、案内したその場で購入申込を迫ってくるのです。
【参考】不動産屋はREINSで物件を共有。同じ物件をどの業者でも取り扱える
不動産屋はREINS(レインズ)という不動産会社専用のデータベースで物件を共有しています。
同じ物件をどの不動産屋(仲介業者)でも取り扱うことができるのです。大まかな取引の仕組みは以下の図と説明文、または参考記事で確認してください。

不動産取引の仕組み
- 売主が仲介業者(X社)に売却活動を依頼
- X社が物件データベース「REINS」(レインズ)へ物件登録(お客さんはREINSの閲覧不可)
- どの不動産会社(A社・B社・C社…)でも本物件の取扱いが可能になる
- X社、A社、B社、C社…がそれぞれ購入検討者へ営業開始(例えばX社やA社はSUUMOなどの物件情報サイトへ物件広告。B社は自社顧客へメールや電話連絡。さらにチラシ配布。C社は特に何もしない)
- 購入検討者はどの会社へ問い合わせてもOK。本物件に関して営業活動をしていないC社に問い合わせても問題なく取引できる
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どの不動産屋に行っても同じ物件を購入できる理由【不動産取引の仕組み】
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③不動産業界はフルコミ営業マンも多い。契約なし=月末の給与ゼロ
成功報酬型で、一番手の購入申し込みを勝ち取らなければならない仲介業者。
上記の理由は会社としての理由でしたが、営業マン個人の事情もあります。それは、不動産業界にはフルコミッション型(フルコミ)の営業マンが多いということです。
フルコミッション型の営業マンとは、個人事業主で独立しており、会社の名前だけ借りている営業マンです。フルコミ営業マンは、複数の会社に属していることもあります。
契約が決まったら「仲介手数料の〇%」などと、あらかじめ決められた歩合で報酬を受け取ります。
逆に言えば、契約が決まらなければ会社はフルコミ営業は報酬を得られません。給料ゼロです。今月給料が入ってくる保証がないのです。
そうなれば、内覧の案内をする時「このお客さんを決めなければ今月ピンチ!」という精神状況もあるということです。自分の生活がかかっているため「契約を取らないとヤバい!」と、ガンガン営業をしかけてくることもあります。
また、フルコミ営業の契約形態によって大きく変わりますが、基本的には、会社側は一切の経費を支払いません。
交通費なども自腹で支払わなければならず、フルコミ営業マンは出費が膨らむことを嫌がります。
丁寧に時間をかけて取引を進めていくことを嫌い、今すぐこの物件で決めて欲しいと押し売りをしてくることもあるのです。
押し売りする業者は焦っているだけ。レベルの低い不動産屋は断ればOK
成功報酬型の仲介取引。他社との競争もあり、フルコミ営業の場合は最低給与もありません。
こういう理由で、時には押し売りともいえる強引な営業が行われているのです。
冷静に振り返ると、ここで紹介した理由はすべて不動産屋都合の自己中心的なものです。お客様にとってはなんの関係もなく、ただ迷惑なだけです。
そして不動産屋で契約を迫られて怖い思いをしたという話もよく目にしますが、ただ営業マンに余裕がなく焦っているだけなのです。
むしろ強く契約を迫ることしかできない、レベルの低い業者と自ら白状しているようなものです。
もしこういった営業を受けた場合は、その不動産屋を断り、他の不動産会社に変えましょう。危ない不動産屋で契約することは将来、面倒なトラブルに巻き込まれる可能性もあります。
基本的に同じ物件はどの不動産屋さんでも取引できます。信頼できる他の不動産会社で安全に取引してください。
まとめ
不動産屋は強引な営業をしてくるという悪いイメージが少なからずあります。
その裏には、不動産仲介取引が成功報酬型であり、売買契約が成立しない限り報酬がゼロとなることや、他社に先駆けて自社顧客から購入申込を取らなければならないといった背景があることをご説明しました。
こういった背景があるものの、これは不動産屋の事情であってお客様には何ら関係がありません。押し売りしていい理由にはなりません。
むしろ、だからこそ他社より優れたサービスを提供して選ばれる不動産屋を目指すべきでしょう。
物件選びも大事ですが、それ以上に大事なのが不動産屋選びです。安心して取引できるよう、信頼できる不動産会社に巡り合ってくださいね。