住宅購入の必須知識・ノウハウ

どの不動産屋に行っても同じ物件を購入できる理由【不動産取引の仕組み】

2021-03-27

こんな方向けの記事です

  • 同じ物件を複数の不動産屋から紹介されたけどどうして?
  • 訪問した不動産屋と売主さん側の仲介業者ってどういう関係?
  • 買主と売主はどういう仕組みでマッチングされているの?

実は、どの不動産屋に行っても同じ物件を購入できることをご存じでしょうか。

後述する通り、全国の不動産屋が同じ物件を扱えるシステムが不動産業界にできあがっているのです。

ここではその仕組みを解説します。この仕組みはマイホーム購入時の必須知識であり、実際の取引時においてかなり役立ちます。しっかり理解してくださいね。

この記事を読むメリット

  • 不動産取引構造の全体像が分かる!鍵はREINS(レインズ)
  • 不動産屋は物件情報をどうやって集めているのか分かる
  • 片手取引と両手取引の意味と違い、危険性も理解できる

注意

不動産会社と一口に言っても、マンション建築業者、戸建て建築業者、管理会社、仲介業者などさまざまです。また、仲介業者といっても、売買・賃貸という違いもあります。ここでは「不動産売買の仲介業者」についてご説明しています。

 

【結論】不動産屋は物件情報を共有している。だから同じ物件を紹介できる

どの不動産屋に行っても同じ物件を購入できる理由、結論から言えば「不動産屋は物件情報を共有しているから」です。

実は、ほぼ全ての不動産会社はレインズ(REINS)という同じ物件データベースにアクセスして、お客さんに物件紹介しています。

だからどの不動産屋さんに行っても同じ物件を紹介してもらえるのです。段階を追って説明すると以下の通りです。

  1. 売主から売却依頼を受けた不動産屋がREINSに物件を登録する
  2. REINSを通じて全国の不動産屋がこの物件を紹介可能になる
  3. だから買主はどの不動産屋に行っても同じ物件を取引できる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

①売主から売却依頼を受けた不動産屋がREINSに物件を登録する

売主が仲介業者に売却依頼をすると媒介契約が結ばれる

売り物件が、買主さんに紹介されるまでの流れを順に追っていきましょう。

まず、自宅を売りたいと思った売主さんはどうすればいいでしょうか。多くの場合、自宅を売りたいと思った売主さんは、不動産会社(仲介業者)に売却依頼をします。

 

 

ここでは、X不動産会社(X社)が売却依頼を受けたとします。売主さんから売却依頼を受けた業者(ここではX社)を業界用語で「元付業者」と呼びます。売主さん側につく不動産屋さんですね。

この時、X社は売主さんとの間で「販売活動を頑張ります」という主旨の契約を結びます(「媒介契約」と呼ばれます)。

 

売却依頼を受けた元付仲介業者は物件情報をREINS(レインズ)に登録する

この媒介契約を結んだX社は、原則として1週間以内に「REINS」(レインズ)という物件データベースに、預かった物件の情報を登録しなければなりません。

 

 

「REINS」(レインズ)とは、国土交通省から指定を受けた不動産流通機構が運営している物件データベースです。このレインズは不動産会社だけが見ることができる物件データベースで、いわば「仲介業者版のSUUMO」みたいなものです。

売り物件を預かった業者は、このREINSへの登録義務があるため、物件情報が随時レインズに蓄積されていきます。実際、レインズには膨大な数の物件情報が登録されています。

 

②REINSを通じて全国の不動産屋がこの物件を紹介可能になる

レインズに登録された物件は、どの不動産屋も紹介・取引できるようになる

ほぼ全ての不動産仲介会社は、レインズを閲覧することができます。

というより、毎日のように不動産会社はこの物件データベース「レインズ」をチェックしています。

個人のお客さんはこのレインズを見ることはできませんが、宅建業の免許を受けた業者に限り、この物件データベースを見ることができるのです。

そしてこのレインズに、元付仲介業者X社が新たな売り物件を登録した瞬間、その売り物件は全国どこの仲介会社でも取り扱うことができるようになります。

 

レインズをチェックした客付仲介業者は買主を見付けようと営業活動をする

REINSをチェックした不動産屋(A社・B社・C社…)は、競い合ってこの物件の買主さんを見付けようとします。

不動産各社(A社・B社・C社…)がそれぞれ自社で抱えているお客さん(買主さん)に「新たな物件が出ましたよ~」と物件紹介したり、「この物件、内覧にいきませんか?」と連絡したり、ネット広告したりして、お客さんに営業を仕掛けるわけです。

もちろん、売却依頼を直接受けた売主側の不動産屋(元付業者X社)も、買主さんを探そうと、自社顧客などに物件紹介します。不動産業者みんなが買主さんを見付けようと動き出すのです。

 

 

尚、売却依頼を直接受けていない業者(ここではA社B社C社…)を業界用語で「客付業者」と呼びます。買主さん側につく不動産屋さんですね。

もし買主さんから「その物件の詳細資料が欲しい」などと問い合わせを受ければ、客付業者は元付業者X社(売主さんから直接売却依頼を受けた会社)へ問い合わせることで、物件の詳細資料などを入手できます。

このように、物件データベースを介して売主さんと買主さんがつながる仕組みがあるのです。

 

③だから買主はどの不動産屋に行っても同じ物件を取引できる

売主が売却依頼した業者と買主が選んだ不動産屋が間に入って売買契約する

以上の通り、不動産会社はレインズで売り物件を共有しています。

ですので、買主さんはA社でもB社でもC社でも、どの不動産屋さんに行ってもいいのです。どの会社へ行っても同じ物件を取引できます。

もし買主さんがB社を選んで、物件購入の申し込みをしたとします。そうすると、取引の登場人物は以下のように4者になります(この形態の取引を「片手取引」といいます)。

【売主】-【売主側の不動産屋(X社)】-【買主側の不動産屋(B社)】-【買主】

売主さんと買主さんは、それぞれ売主側の不動産屋(元付業者)と買主側の不動産屋(客付業者)を通じて、売買金額の条件交渉などをします。

話がまとまれば売買契約が結ばれます。

そして売買契約が結ばれれば、売主さん買主さんは仲介手数料を支払います。仲介手数料は、売主さんは売主側の不動産屋へ、買主さんは買主側の不動産屋へ、それぞれ担当してもらった仲介業者に支払います。

尚、仲介手数料の支払いタイミングは、法的には、契約時に請求権が発生するとされていますが、実際には不動産業者や取引によって異なります。契約時に全額請求もあれば、契約時に半金、決済・引き渡し時に残金と分けるケース、決済時に全額などさまざまです。

以上が不動産取引構造の全体像です。

ポイント

元付業者や客付業者は、物件ごとに決まっています。

会社ごとに決まっているわけではなく、どの不動産会社も、物件によって元付業者になったり客付業者になったりします。

この物件はA社が元付業者、あの物件はB社が元付業者…という風に物件ごとに元付業者が決まっているということです。売主さんが売却依頼した会社が元付業者であることを考えれば当たり前ですね。

 

【非公開物件】REINSに登録されない物件もある。信頼する不動産屋に確認

上述した通り、基本的に物件情報はレインズを介して不動産会社全体で共有されています。

しかし、一部の物件ではレインズ登録がなされないまま売買されているものがあります(売主の形態や媒介契約の種類など少し複雑な話になりますので割愛します)。

いわゆる非公開物件(未公開物件)と呼ばれるものです。中には、REINSへの登録義務があるのにそれを無視しているケース(違法)もありますので、危険な取引に巻き込まれないよう十分注意してください。

ただ実際の取引においては、難しいことは考えず「基本的にはどの不動産屋さんでも同じ物件を取引できる。一部は例外なんだな」くらいに考えておいて構いません。

そして気になる物件が出てきた場合には、信頼できる不動産屋さんに「この物件は御社で取引できますか?」と聞けばその都度答えてくれます。

その不動産屋さんで取引できる物件であれば、そのまま取引をお願いしましょう。「この物件はちょっとうちでは難しいです…」と言われた場合は、物件を諦めるか、その物件を扱っている特定の不動産屋さんにお願いしましょう。

いずれにしても、まずは信頼できる不動産屋さんにその都度聞いてみて、その答えに従ってください。

 

【両手取引】売主と買主の間に1社しか介在しない取引形態もある

売却依頼を受けた元付業者も、自社で買主を見付けようと営業活動する

売主から直接売却依頼を受けた売主側の不動産屋(元付業者:X社)と、レインズをチェックして買主を見付けようとするその他の不動産会社(客付業者:A社・B社・C社…)。

なにも客付業者だけが買主さんをみつけるわけではありません。もちろん元付業者X社も自社で買主をみつけようとします。

売主側の不動産屋(元付仲介業者)が直接買主も見つけてきた場合、取引の登場人物は以下のように3者になります。つまり、買主と売主の間には1社のみしか存在しない取引になります(この形態の取引を「両手取引」といいます)。

【売主】-【売主側の不動産屋】-【買主】

 

【要注意】不動産屋は報酬2倍で儲かる取引。買主にはリスクのある取引

この両手取引の特徴はなんといっても、買主と売主の間に1社しか不動産屋がいないことです。

そのため、買主と売主という利益相反する関係の間を取り持つことになり、すべては不動産屋のさじ加減となります。売主から売却依頼を受けているため、り売主に有利な条件調整が行われ、契約が結ばれることもあります。

また、両手取引の場合は売主からも買主からも仲介手数料をもらえるため、片手取引の場合に比べて、不動産会社は2倍の報酬を得られます。

不動産屋としては、なんとしても、この儲かる”おいしい”両手取引を成約させようとするため、買主に契約を急かしてくることも多いです。

ネガティブ情報を隠されたり、建物に調査が必要なケースでも「気にすることないですよ」ととにかく契約を優先してくることがあるのです。

両手取引自体は日本では禁じられていませんので、違法というわけではありません。ただ、両手取引で契約を進める場合には十分ご注意ください。

参考
【両手取引】仲介が1社だけの契約は危険?新築戸建やリノベ物件は特に注意

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まとめ

不動産会社は、REINS(レインズ)という同じ物件データベースをみて、物件情報をお客さん(買主さん)に紹介しています。

だからこそ、どこの不動産屋に行っても同じ物件を紹介してもらえます。これは、買主さんが信頼できる不動産会社を自分で選べるという意味でもあります。この仕組みを理解すれば、安心して取引ができるようにできています。

そして、最終的に取引に参加するのは、主役の売主さんと買主さん、そしてそれぞれに付く仲介業者の4者です。

例外としてレインズに登録されない非公開物件や、仲介業者が1社しか入らない両手取引といったこともあります。少しややこしいですが、お気に入りの信頼できる不動産会社に都度聞けば柔軟に対応してくれるでしょう。

まずはこの基本的な取引構造を頭に入れて、安全に取引してくださいね。

  • この記事を書いた人
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加藤豊

1,000件以上の住宅取引をみてきた不動産エージェント。数多くの住宅相談を受けた経験から、住宅購入の落とし穴や失敗事例、資産価値の見極め方まで「家の買い方」を明快に発信!

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